江戸後期の琳派「芳中」のおおらかで、ほのぼのした絵に会いに行こう!
2019年12月22日まで、琳派展21「没後200年 中村芳中」が細見美術館で開催されています。江戸後期の京都で生まれ、大坂を中心に活躍した琳派の絵師 中村芳中(?〜1819)。大坂の文人たちと親しく、文人画風の山水画を描いたほか、技法にこだわり指頭画(しとうが)の名手としても名を馳せています。尾形光琳(1657〜1716)を私淑し、琳派が得意とした『たらしこみ』を多用した草花図も多く描いています。一方、生涯にわたって諧謔を好み、多くの俳人と交流しながら俳画や俳書の挿絵などを手掛けています。
太くて緩やかな線描、水分の多い墨や絵の具による彩色、単純化して大きく描いた動植物や人間ーおおらかな『なごみ系』の画家として多く人に親しまれてきました。また、俳諧の持つ軽やかさと芳中の力みのない作風が調和し、「ゆるい」けれど味わい深い絵を残しています。
指頭画で描く山水画や草花、俳画を得意とした芳中ですが、江戸庶民の人気が高かった大津絵も自由でのびのびした筆致で描いています。2019年の4月にパリ日本文化会館で、ヨーロッパ初となる大規模な大津絵展が開催され、海外からもゆるくてユーモラスな日本の民衆絵画に注目が集まっています。上方で活躍した琳派絵師、芳中がより評価されるのではと思われます。
琳派展21「没後200年 中村芳中」
2019年10月26日(土) – 12月22日(日)
細見美術館
■京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
TEL. 075-752-5555
■開館時間
午前10時~午後6時 ※入館受付は午後5時30分まで
■休館日
毎週月曜日(祝日の場合は、翌火曜日)
※会期中、展示替あり
※展示室内は撮影不可(許可を得て撮影しています)